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近鉄山田線・鳥羽線・志摩線とあご湾定期船、志摩半島、渡鹿野島|ちゃり鉄2号

志摩半島・浜島港(三重県:2016年7月)
各駅停車「ちゃり鉄号」の旅
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ちゃり鉄2号:旅の概要

  • 走行年月
    • 2016年7月(前夜発1泊2日)
  • 走行路線
    • 近畿日本鉄道山田線・鳥羽線・志摩線
    • あご湾定期船
    • 渡鹿野島渡船・県道船
  • 主要経由地
    • 志摩半島(御座岬、麦崎、大王崎、安乗崎、渡鹿野島)
  • 立ち寄り温泉
    • 浜島温泉宝来荘
  • 主要乗車路線
    • 近鉄大阪線、JR参宮線・紀勢本線・関西本線等
  • 走行区間・距離・累積標高差
    • 総走行距離:196.7km
      • 1日目:自宅≧東青山駅
        (0km)
      • 2日目:東青山駅-伊勢中川駅=賢島駅-賢島港~浜島港-磯笛岬展望台
        (104.7km、+740.0m、-885.9m)
      • 3日目:磯笛岬展望台-賢島港~和具浦-志摩半島-鳥羽駅≧自宅
        (92km、+1417.6m、-1453.8m)
  • 見出凡例
    • -(通常走行区間:鉄道路線外の自転車走行区間)
    • =(ちゃり鉄区間:鉄道路線沿の自転車走行区間)
    • ≧(鉄道乗車区間:一般旅客鉄道の乗車区間)
    • ~(乗船区間:一般旅客航路での乗船区間)

ちゃり鉄2号:走行ルート

ちゃり鉄2号:1日目(自宅≧東青山駅)

自宅≧東青山駅

ちゃり鉄1号」の取材から1週間後の金曜日の夜更け、私は、東青山駅に居た。先週、この駅を通った時に、緑に包まれた「東青山四季のさと」の長閑な雰囲気が心地よく、駅前野宿の適地だと感じた。そこで、「ちゃり鉄2号」の旅は、この駅から始めることにしたのである。

仕事を終えてから兵庫県内の自宅を出発し、JRと近鉄とを乗り継いで、22時過ぎになって到着した東青山駅は、近鉄随一の幹線である大阪線の駅だけあって、この時刻になっても、列車の往来は少なくはない。ただ、通過列車が多く、停車する普通列車でも、東青山駅で乗降する客の姿は見られなかった。

伊勢中川行きの普通列車を見送ると、丁度、行き違いの特急が、彼方のトンネルを越えて、東青山駅構内に入ってくるところであった。駅は2面4線の大形駅で、一部列車が、この駅で折り返し運転も行っている。東青山駅については、「ちゃり鉄1号」の中で詳細にレポートしたので、そちらも参照していただきたい。

列車の往来は少なくないが、乗降客の姿は見かけない東青山駅
列車の往来は少なくないが、乗降客の姿は見かけない東青山駅
2面4線の大きな駅では、折返しの列車も設定されている
2面4線の大きな駅では、折返しの列車も設定されている
東青山駅の駅名標
東青山駅の駅名標

2週続けて「ちゃり鉄」の旅を行うことにしたのは、大阪難波発賢島行きの近鉄特急「ビスタカー」の旅を再現するためだが、1泊2日の行程しか確保できなかったため、旅程を2回に分割せざるを得なかった。そのあたりの経緯については、「ちゃり鉄1号」のレポートに記したとおりである。

1泊2日では、夜明け前から日没後まで、寄り道もせず走り続ける旅になってしまう。それは、私が考えるような「ちゃり鉄」の旅ではなかった。鉄道の旅は途中下車にこそ味わいがある。「ちゃり鉄」の旅でもそれは同じだ。それで、2週続けての「ちゃり鉄」の旅となったのである。

東青山駅の到着は22時過ぎで、翌朝、5時半頃には出発することを考えると、のんびりする暇もなかった。

駅の撮影を行ってから、駅前の「東青山四季のさと」の敷地の外れで、野宿に適当な場所を探してテントを張り、直ぐに眠りにつくことにした。

地形図:東青山駅周辺
地形図:東青山駅周辺

しかし、先程から、スーツ姿の男性が近くをウロウロしている。最初は、会社帰りの通勤客かと思ったのだが、「東青山四季のさと」は、集落とは逆の方向で、しかも、集落までは結構な距離がある。ウロウロしながら、ベンチに座ったりしているので、怪訝に思いながら様子を見ていると、遠くから、「キャンプですか?」と遠くから声をかけてきた。軽く答えたのだが、その後、特に話しかけてくることもなく、ただ、ちょっと離れたところから、ずっとこちらを見ているので、どうも落ち着かない。

2015年に九州北部を旅した時のことだが、門司港駅付近の夜景の名所で野宿し、翌早朝4時頃、雨が降り出す前に門司港駅に着きたいと、夜明け前の街を急いでいたところ、会社帰りのような格好をした男性に、同じように「キャンプですか?」と声をかけられたことがある。

その時も、軽く答えて、お互い逆の方向に別れたのだが、門司港駅で写真を撮っていると、逆の方向に進んでいったはずのその男性が現れて、「ここにいると思ってましたよ」と話しかけてきた。仕事帰りなのか尋ねると、「散歩中です」と言う。「この時間、その格好で散歩?」と違和感を抱いたのだが、「失業した」という男性の話にそのまま話に付き合っていると、男性の話が止まらなくなった。

撮影を行いたい旨を伝えて、お話を伺いながら撮影を続けていたのだが、話は取り留めもなく、また、意味が分からないことも多かった。挙げ句、「旅先では、地元の人の言うことに従うべきです」と、本人曰く、「親切な忠告」が始まった。

「人を撮影する時は、相手の人の気持ちを考えるべきです」などと言う。私は、その男性を撮影したわけではないのだが、本人は、そういう失敗をしたことがあるから、「親切で言うのだ」と、繰り返している。

門司港駅構内には、九州の鉄道発祥の地を示す記念碑などもある。それらの撮影もしておきたかったため、乗車する列車の出発時刻も考えて、男性に断りを入れて別れを告げ、ホームに入って撮影をしていると、背後から「ワッ!」と大きな声がする。振り返ると、件の男性がニヤニヤしながら立っている。切符を買って、ホームの中にまで追いかけてきたようだ。

これには流石に驚いたのだが、無視する訳にも行かない。話を聞きながら撮影を続けたのだが、「撮影するよりも、私の話の方が大切です」などと言われて、結局、記念碑の撮影もできなかった。

やがて、出発時刻が近付いてきたので、普通列車の車内に乗り込むと、男性は、私の後に付いてきて、ボックス席の向かいに座り、「旅先では、地元の人のアドバイスに従わなければならない」と同じ話を繰り返す。アドバイスは、徐々に説教になってきて、「人が親切でアドバイスしていることには、聞く耳を持ちなさい」などと、口調も強くなってきた。

「このまま、どこまでついてくるつもりかな?」と思っていると、出発の間際になって、ようやく降りていった。そして、窓の外で「人の話を聞きなさい」と怒鳴っている。

この男性は、人間関係がうまく行かず仕事を辞めたという。

そういう経験があったため、夜更けの東青山駅前をスーツ姿で徘徊する男性と、話をするという気持ちにはならなかった。設営したテントに入り、寝袋の中に潜り込んで眠ろうとしていると、テントの周りに足音が近付いてきて、ウロウロした後、近くで、パタリと音が止んだ。寝袋の中で緊張しながら聞き耳を立てたのだが、眠気には勝てず、いつの間にか眠ってしまい、後のことは覚えていない。

夜中に、尿意を催して目が覚め、テントの外に出た時には、男性の姿は見えなかった。先程聞こえた足音は、もしかしたら野生動物のものだったのかもしれない。その後は、特に、気になることもなく、よく眠ることができた。おかしな出来事はあったが、駅前は、広大な四季の里の敷地となっており、駅前野宿で一夜を過ごすには、気持ちの良い駅であった。

駅前の四季の里から眺めた終業間際の東青山駅
駅前の四季のさとから眺めた終業間際の東青山駅
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