7月20日(木)~8月2日(水)の予定で実施した「ちゃり鉄20号」は、一部登山行程を割愛し8月1日(火)に終了しました。今回の取材実施路線は以下の通りです。
- JR路線:左沢線・米坂線
- 私鉄路線等:山形鉄道フラワー長井線、福島交通飯坂線
- 廃線等:改正鉄道敷設法別表25号線(左沢=荒砥)
今回の取材では当初心配された梅雨末期の雨天は回避することができ、全日程、曇晴天となりました。しかし、初日から体調を崩して発熱してしまい、猛暑ということもあって連日苦しい行程となりました。
登山行程も朝日連峰の登山のみ実施できたものの、吾妻連峰、飯豊連峰は中止。その分、走行行程を予定よりも早く終わることになったので、青春18切符を使っての乗り鉄の旅に切り替えました。
以下、簡単に各行程を振り返ります。
1日目は移動中心。寝台特急「サンライズ出雲」から常磐線特急「ひたち」、仙山線快速と乗り継ぎ、山形入り。そこから左沢線を取材しつつ左沢までの行程。初日からかなりの猛暑に加え、湿り気を帯びた空気が流れ込んでいることもあって、スッキリと晴れることのない行程でした。
2日目は左沢の楯山城址公園を出発し朝日鉱泉口から鳥原山経由で大朝日岳まで。山頂避難小屋泊の行程です。朝日連峰は雨こそ降らなかったものの、稜線部は雲に覆われて視界の開けない登山となりました。この日既に異常発汗も見られ、発熱などはなかったものの疲労感の強い登山と濡れた衣類による汗冷えで、翌日以降に更に体調を悪化させることとなりました。
3日目は大朝日岳山頂避難小屋から御影森山周りで朝日鉱泉に降り、愛染峠は廃道化していたため断念して荒砥までのライドとしました。大朝日岳付近は相変わらずガスっぽい空気に覆われて、スッキリと展望が開けることがありませんでしたが、念願の朝日連峰初登を晴天のうちに終えられたのは運が良かったと言えるかもしれません。この日の段階でかなり体力を消耗しており、体調不良を実感しながらの旅となりました。
4日目は山形鉄道フラワー長井線の取材を終え、鳩峰峠の難路を越えて飯坂温泉まで。この日も湿り気の多い暑熱気象で体力を消耗しましたが、とりわけ鳩峰峠の登りは壁のように立ちはだかり、苦しい行程となりました。峠を降り始めてからも今一つ走りが重く、茂庭湖から飯坂にかけても案外時間を要することとなりました。
5日目は福島交通飯坂線の取材を終えた後、JR奥羽本線に沿って赤岩駅や板谷駅を訪れた後、峠駅で駅前野宿としました。翌日以降で吾妻連峰の小屋泊まり山行を計画していましたが、悪寒含みの体調悪化に加え、滑川温泉の入浴が時間切れで出来なかったこともあり、この日のうちに登山計画を中止。翌日は登山を行わず、JR米坂線に入って羽前沼沢駅に直行することとしました。
6日目は峠駅から吾妻連峰への登山を中止し、そのまま板谷峠を降って米沢からJR米坂線に入ることにしました。目的地は羽前沼沢駅。体調を鑑みて100㎞未満の行程としましたが、悪寒も強く厳しい行程となりました。羽前椿駅付近では市街地から少し離れたしらさぎ荘を訪れましたが休館日。結局、羽前椿駅付近の神乃湯温泉ホテルに戻って入力と昼食を済ませることとしました。冷房が体にこたえる状況で涼しい環境でも体が休まらない一方、屋外野宿のテントの中は暑くて同じく休まらない夜が続きます。
7日目は米坂線の羽前沼沢駅から越後金丸駅まで。これだけではかなり短行程となるので、越後下関駅付近まで足を延ばして、関川温泉郷を訪れることにしました。この区間で予定していた飯豊連峰の登山も中止したほか、越後金丸駅付近から探索に訪れた金丸鉱山跡も、最後200m程の藪漕ぎ区間を虻の猛攻に耐えて乗り越えることが出来ず撤退しています。やはり体調が悪い時は、藪漕ぎなどに耐える気力が失われてしまいますね。
8日目は越後金丸駅から坂町駅まで走り通して米坂線のちゃり鉄を終わるとともに、この取材の中でのちゃり鉄行程も全て終了しました。坂町駅からは青春18切符を用いた乗り鉄の旅に切り替え、弥彦駅や彌彦神社経由で、JR信越本線の青海川駅まで。2022年1月の訪問時にはカメラを落として壊すなどのトラブルに見舞われた青海川駅でしたが、この日は念願の夕日を望むことが出来、辛い旅路を彩る思い出になりました。
9日目は青海川駅からJR上越線に入り、湯檜曽駅、土合駅、土樽駅を訪問。土樽駅で駅前野宿の予定でしたが、湯檜曽駅の後で移動した六日町駅で乗り継ぎ時刻表を間違えたため、この日の土合駅訪問は断念。翌朝訪問することとして予定を変更しました。青海川駅から上越国境の各駅訪問に関しては、2022年1月の旅で、上越線の大雪障害のため5日間に渡って運休が続いてとうとう断念した思い出の地。今回は真夏の訪問となり、上越国境の大雪を堪能することは出来ませんでしたが、日中に上越線を越えたのは学生時代以来で、念願が叶いました。
10日目は土樽駅から土合駅経由で一気に関東圏を走り抜け、JR身延線の井出駅までの行程としました。身延線も学生時代以来ご無沙汰している上に、駅前野宿未経験の路線だったので、沼久保駅か井出駅に目星をつけ、現地の様子を鑑みて井出駅での駅前野宿としました。
11日目はJR身延線井出駅から甲府・塩尻周りでJR中央線の旅を楽しみ、JR北陸本線・南今庄駅まで移動して駅前野宿としました。中央本線はここ数年間で複数回乗車していますが、直近では特急を利用していたので、青春18切符での旅は久しぶりです。南今庄駅での駅前野宿も学生時代以来。すっかり車両は変わりましたが、懐かしい山峡の無人駅野宿となりました。
12日目はJR北陸本線・南今庄駅からJR小浜線・JR舞鶴線経由で自宅まで。午前中には地元駅に到着し、知人に駅まで迎えに来てもらって自宅に帰りました。体調は相変わらず悪く万全ではありませんでしたが、シャワーを浴びてスッキリした後、弱冷房の部屋で休むと、ようやく体が回復に向かうのを実感しています。
今回の現地行程では、朝日連峰下山後の愛染峠が廃道化しており、体調不良もあってこの区間の踏破を割愛したほか、吾妻連峰、飯豊連峰の登山行程と、米坂線沿線にあった廃鉱山探索を割愛しています。それ以外のちゃり鉄区間に関しては、走行距離を100㎞未満に抑えながら、何とか、予定通りに走破することが出来ましたが、猛暑の環境下で体調を崩すという厳しい条件となり、かなりダメージの大きいちゃり鉄となりました。
全行程のルート図と断面図は以下に示す通りです。
次回、ちゃり鉄21号は、11月下旬~12月上旬に、JR室蘭本線を中心に巡る予定です。初冬の気象条件となるので、今回とは違った困難が想定されますが、万全を期して実施したいと思います。